【講師】 柴田 浩一さん
横濱JAZZプロムナード、プロデューサー。
現在、NHK横浜放送局(81.9MHz)にて、毎週水曜日のジャズ番組「FMサウンド☆クルーズ/よこはま発JAZZクルージング」を担当。2011年、NHK関東甲信越地域放送文化賞を受賞。 著書「デューク・エリントン」(愛育社)。
今回で5年目を迎えるこの講座。
すっかり顔なじみの方、今回初参加の方等々、GIG店内は満員御礼となりました。
いよいよ一回目講座の始まりです。
今回用意された音源は26曲と実に多彩、柴田さんの語りにしっかりと耳をそば立てます。
「JAZZはどうやって誕生したのか、黒人の悲しみ・嘆き・つぶやきの様なブルースと、混血のクリオールが西洋音楽から持ち込んだラグタイム。この二つの流れの後、今日の最後の方にビッグ・バンドが登場します。」
いくつか切り取ってご紹介します。
リンク先のYoutubeアドレスは、2017/05〜7時点で参考情報のひとつとして掲載しました。
掲載がいつ取り消されるかは全く予測出来ないので悪しからず。(若)
M1: The Entertainer/Scott Joplin(1902)
「ラグタイムの代表曲で譜面による西洋音楽的な音源です。
これは録音ではなく、ピアノ・ロールによる演奏。」 https://www.youtube.com/watch?v=0LOQ-AeWVpA
M2: When the Saint Go Marching In/Bunk's Brass Band
「葬儀の行列が行進する時のブラスバンド。行きは厳かに、帰りは明るくこの曲が演奏されました。」
https://www.youtube.com/watch?v=7gRFuNb7jsw
M3: Dixie Jass Band One Step/Original Dixeland Jazz Band (ODJB)(1917)
「最初のジャズ録音、それは何と白人バンドでした。凄く上手い演奏です。
曲名にJASSと記載されているのは、誤植ではありません。
JAZZは黒人のスラングと言う理由で、あえて濁らないJASSと表記されましたが、その後直ぐにJAZZに統一されます。」
https://www.youtube.com/watch?v=mW7rldvqN1w
M9: Carolina Shout/ James P. Johnson(1921)
「ラグタイムからデューク・エリントンに影響を与えたのがこの曲。ラグタイムからジャズへ。」
https://www.youtube.com/watch?v=nSFGyipsNsg
M13: Dipper Mouth Blues/ King Oliver's Creole Jazz Band(1923)
「ルイ・アームストロングの師匠が、キングオリバー。
その後の演奏が、そっくりになります。」
https://www.youtube.com/watch?v=BEF9QeHxrYw
M17: Oh, Johnny! Please Don't-Mom-Ma! /Oliver Naylor & His Seven Aces(1924)
「おそらくデキシーランドの完成形と思われるのがこの曲。
ユニゾンの演奏が良い。」
https://www.youtube.com/watch?v=Nw2XL_edCEI
M19: Pianoflage/Fate Marable's Society Syncopators(1924)
「リバーボートの上で黒人が演奏していたこの曲。
アンサンブル重視のビッグバンド編成で演奏される様になります。
まだソロは登場しませんが、編曲を行うアレンジャーの存在が大きくなって来ます。」
https://www.youtube.com/watch?v=oUPu0r8koG4
M25: Kater Street Rag/Bennie Moten's Kansas City Orch.(1925)
「カウント・ベーシーの母体となるバンド、素晴らしい演奏です。まだ編曲は書かれておらず、順番の指定だけ。」
https://www.youtube.com/watch?v=456JCbDsVRg
「1920年代初頭、アメリカ南部から北のシカゴへの移入が甚だしく、ミュージシャンも演奏場所を求めてミシシッピ河を遡ります。
今日は、そのシカゴが舞台です。」
用意された音源は、1923年から1930年迄の21曲。
M3:Heebie Jeebies /Louis Armstrong & His Hot Five(1926)
「世界初のスキャットが登場した曲です。」
https://www.youtube.com/watch?v=ksmGt2U-xTE
M4: The Stampede / Fletcher Henderson & His Orchestra(1926)
「この時点で、恐るべきオーケストレーション。
いよいよビッグ・バンド時代の幕開けと感じます。」
https://www.youtube.com/watch?v=Qi1Sms31amo&list=RDQi1Sms31amo
M8: Black and Tan Fantasy/ The Washingtonians (Duke Ellington & His Orch.)(1927)
「デユークエリントンの名作。踊るための音楽から観賞する為の音楽に変化した瞬間です。ラストは、当時の黒人の置かれた心境を表現しています。」
https://www.youtube.com/watch?v=GN3_c1OnA3s
M10:At the Jazz Band Ball / Bix Beiderbecke & His Gang(1927)
「白人ジャズの巨人。感情と音色を押さえた演奏は、創造的で知性を感じられます。」
https://www.youtube.com/watch?v=ZxP0cf1bpTM
M15:Mississippi Mud /Frank Trunbauer & His Orchestra (1928)
「白人バンド。黒人の泥臭い曲も、歌が入り洒落た感じに仕上げてます。」
https://www.youtube.com/watch?v=cUSTRFC0yqA
M18: West End Blues / Louis Armstrong & His Hot Five(1928)
「ルイ・アームストロングの最高傑作。Tp,cl,pの絡み方、何度聴いても非の打ち所がない名演です。」
https://www.youtube.com/watch?v=W232OsTAMo8
M19: Chinatown, My Chinatown/ Red Nichols & His Five Pennies(1929)
「映画・五つの銅貨の主人公RedNichols。
快適なテンポで、グレンミラー、ベニー・グッドマンらがソロを取ります」
https://www.youtube.com/watch?v=ZhphfksE73U
「黒人バンド、白人バンド、どちらが良かったでしょうか。ほとんど違いが分らないかも知れません。次回は舞台をNYに移します。」
「ニューヨークでSwingジャズが頂点に達したこの時代。タイムマシンがあれば飛んで行って聴いてみたい演奏ばかりです。」
用意された音源は、1930年から1938年迄の21曲。
M2: Mood Indigo(Dreamy Blues)
/Duke Ellington & His Cotton Club Orchestra (&HisOrchestra)(1930)
「実に見事なハーモニーの演奏です」
https://www.youtube.com/watch?v=ojamSYmjEs0
M8: White Heat /Jimmie Lunceford &HisOrchestra (1934)
「この時代最も実力があり、評価が高かったのがこのバンド。
たたみ掛ける様な音の洪水です。」
https://www.youtube.com/watch?v=m4jdhS8n_rY
M9: Love and Kisses/Chick Webb & His Orchestra (1935)
「NYで誰にも負けないドラマーChick Webb。
デビュー半年後のエラが、若々しいヴォーカルを担当しています。」
https://www.youtube.com/embed/_TbMFqsKc4c?rel=0
M15: Caravan /Barney Bigard & His Jazzopaters(1936)
「おなじみのこの曲を、エリントン楽団から離れて自分のコンボでレコーディングしたもの。」
https://www.youtube.com/watch?v=mKF2qlzdwlY
M17: One O’Clock Jump / Count Basie & His Orchestra(1937)
「Count Basieの大ヒット曲、このバンドのテーマ曲となりました。
2人のTs、だがスタイルが異なります。」
https://www.youtube.com/watch?v=DUEH3VqpPDw
M21: Sing Sing Sing/ Benny Goodman & His Orchestra(1938)
「余りにも有名な、カーネギー・ホール・コンサート。
マイク一本で録音されたが、3人のTpはもの凄く分厚い音がします。
ドラム・ソロもピアノ・ソロも素晴らしい。
これこそが、ビッグ・バンド時代の頂点です。」
https://www.youtube.com/watch?v=9IlT2yeOJ0g
「続々と登場するビッグ・バンド。しかし第二次大戦の不況の中、次第に淘汰されて行きます。」
用意された音源は、1938年から1944年迄の22曲。
M6: In The Mood/ Glenn Miller & His Orchestra(1939)
「全米NO1を12週獲得したのがこの曲。原曲は3倍の長さだったのを、うまく編曲して大ヒットとなりました。」
https://www.youtube.com/watch?v=eWmeJXaelNU
M10: Ko−Ko/Duke Ellington & His Famous Orchestra(& His Orchestra)(1940)
「いわゆるプラントン=ウエブスター・バンド時代の黄金期、録音する曲の全てが名演奏となっています。」
https://www.youtube.com/watch?v=S7qmUQhX6qA
M12:I'll Never Smile Again/Tommy Dorsey & His Orchestra(1940)
「まだ青臭い新人のシナトラが入ることで大ブレークしたのがこの曲。」
https://www.youtube.com/watch?v=il7DWoLySW8
M19:Flying Home/Lionel Hampton & His Orchestra(1942)
「カーネギーの後に独立したLionel Hampton。何種類もの楽器を操り、サービス精神が旺盛な演奏です。」
https://www.youtube.com/watch?v=Pm8zT35WqNM
M22: The Good Jelly Blues/Billy Eckstine & his Orchestra(1944)
「Earl Hinesを引き継いだのがBilly Eckstine。このバンドには、次のモダンジャズの時代を率いる凄いメンバーが揃っています。」
https://www.youtube.com/watch?v=D6OKspNVSZY
(参考)
講座の最後に流したビッグバンドの歴史的生画像はこちらです。
◯Duke Ellington "I've Got be a Rugcutter"1937
https://m.youtube.com/watch?v=2SThwSctW
◯Benny Goodman Orchestra "Sing, Sing, Sing" Gene Krupa - Drums, from "Hollywood Hotel" film (1937)
https://www.youtube.com/watch?v=3mJ4dpNal_k
◯In The Mood(1946)
https://www.youtube.com/watch?v=bR3K5uB-wMA
◯Duke Ellington - It don't mean a thing (1943)
https://www.youtube.com/watch?v=qDQpZT3GhDg